真顔日記

上田啓太のブログ

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寄稿:ドラゴンボールの世界は芸能界に似ている - マンバ通信

おっさんは一つの様式

気づけば三十歳を過ぎている。同世代の男は少しずつ自分をおっさんと称しはじめた。しかし自分にはどうもおっさんとしての自覚が生まれない。ほとんど人に会わない生活をしていることも大きいんだろう。ひとりでいると年齢感覚がアップデートされないため、なんとなく自意識は二十代で止まったままだ。

ただ先日、ふらっと立ち寄った天下一品でラーメンとギョーザを食べながら店内に置かれていたプレイボーイの水着グラビアを眺めていたとき、「いや俺おっさんじゃん」と衝撃を受けた。自分の状況を俯瞰して、「こいつ完全におっさんみたいなことしてんな」と。何の言い訳もきかない姿だった。

しみじみ思ったが、「おっさん」という存在は非常に文化的な様式だと言える。いかにもおっさんめいた言動が人々のイメージとして共有されており、自覚的にせよ無自覚にせよ、そのイメージをなぞったときに人はおっさんとなるのである。そして、天下一品でラーメンとギョーザを食べながら週刊誌のグラビアを眺めるというのは、まさに文化的に登録されたおっさんらしさの典型だったんだろう。

これをフィギュアスケートのような競技としてみるならば、天下一品でラーメンを食べることで点数が加算される。さらにギョーザを頼んだことで加点、店に置かれたプレイボーイを手に取ったことで加点、若い女の水着グラビアを見たことで加点、といったところか。審査員がピッピッピと点数を入力していく光景が目に浮かぶ。

ただ、注文時に「ラーメンはこってり? あっさり?」ときかれて、私は「あっさり」と即答したんだが、あれ、減点されてたと思う。おっさんなら、こってりでしょう。審査員も舌打ちしたでしょうね。萎えるような凡ミスだし。

以下、予想される審査員コメント。

「入店と同時にプレイボーイを手に取ったことで期待させられる出だしとなった今回の演技だが、注文時の二択であっさりを選んだことですぐさま馬脚をあらわした。ああいったことをされると他の行為も結局は若造のまぐれ当たりにすぎなかったのかと失望させられる。注文におけるギョーザは加点対象としたがこれくらいは誰でもできる。水着グラビアを眺める際の表情のしまりのなさで多少は挽回したが不信感を払拭するほどには至らず。まったくもって皮脂が足りていない。今後はもっともっと、加齢臭のにおいたつような演技を期待したい」

これは、さんざんな評価ですね。精進しよう。トイレのドアを開けたまま放尿しよう。