心拍数をはかれるアプリで遊びました

心拍数をはかれるiPhoneアプリがある。Instant Heart Rateというやつ。

これがなかなか面白い。iPhoneに指先を当てて、しばらく待つだけで、自分の心拍数が分かるのだ。


▲計測画面はこんな感じ

平常時を計測してみる

さっそく31歳女性といっしょに計測してみた。

私の心拍数は60代で安定していた。かなり落ち着いており、リラックスしているということらしい。まあ、今の私に、なにひとつ緊張する要素はない。納得の結果である。

31歳は平常時で85ほどあった。高めである。自宅で、スウェットを着て、ソファに座っている。この状態のどこに緊張する要素があるのか。

「いや、だって、iPhoneに慣れてないもん。慣れない道具を使うと緊張するんだよ。あたし使ってるの大昔のドコモのケータイだし。iPhoneってボタンないからパニックになるんだよ。すぐタップとか言うでしょ、油断したらタップとか! わけわかんないもん、タップって何なのよ?」

iPhoneに逆ギレする31歳だったが、ようするに、うまくiPhoneを使えるか、ちゃんとアプリを使いこなせるか、と考えるだけで緊張するらしい。

なるほどと思っていたら、31歳が衝撃的な発言を付け足した。

「それに、近くに人がいるし……」

まさかの『人』呼ばわり。

転がりこんで二年たつのに、まだ私という存在に慣れていなかったのだ。これはちょっとショックだった。

「いや、赤の他人よりマシだけど、そんなもんだよ。人が人に完全に慣れることなんてありえないんだよ。人の存在は圧力なんだよ。お母さんでも圧力なんだよ。お母さんじゃないアンタに圧力を感じるのも当然なんだよ」

お母さんでも圧力を感じる、というところに、31歳女性の人ぎらいの一端を感じ取る。

心拍数は言葉でも上がる

気を取り直して、どういうことをしたら心拍数が上がるのか、いろいろと試してみた。

いちばん分かりやすいのは、運動をすること。何度もジャンプしたり、反復横飛びをするだけでも、心拍数は一気に100をこえた。これはまあ、当然である。

興味深いのは、運動しなくても、特定の言葉に反応して心拍数が上がることだ。

「こんにちは」とか「おはよう」なら、もちろんあがらない。そういった普通の言葉では意味がない。

私の場合、「川村ゆきえ、川村ゆきえ、川村ゆきえ!」と言われたら、露骨に心拍数が上がった。

上がるわけねえだろとタカをくくっていたが、見事に上がった。数字の怖ろしさを知り赤面するしかなかった。そのあと「井上和香、井上和香、井上和香!」とか「椎名林檎、椎名林檎、椎名林檎!」とか、31歳が調子にのって言い出したので、「やめてください」と哀願した。心拍数はグングン上がって100をこえていた。

「ひくほど分かりやすいね」

勝ち誇った顔で言われ、返す言葉もなかった。

一方の31歳女性、こちらも「こんにちは」などでは上がらなかった。

だが、思いつきで「ヘソ見せて」と言ってみたら、異常に心拍数が上がっていた。私が「ヘソ見せてよ」と言うたびに心拍数は85から90になり、五回目の「ヘソ見せて」で100をこえた。

「当たり前だよ、ヘソ見せるなんて圧力の最たるものだよ! そんなにヘソに自信ないし!」

31歳女性は顔を真っ赤にしながらさけんでおった。

ヘソに自信ある人、これまで見たことない。

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36 イイゼ!
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着る毛布グルーニーで冬も余裕です

着る毛布 グルーニー』がヤバい。

異常にヌクヌクして、今年の冬は暖房がいらないんじゃないかと思っている。

冬の電気代を抑えたかった

「このままじゃ冬を乗り切れないからね!」

前歯をシャーと出しながら31歳女性が言った。私が転がりこんでから、もうすぐ三度目の冬。過去二回は冬の電気代がシャレにならない額だった。私が小部屋で暖房を効かせ、31歳女性は居間でストーブを使う。それとは別にコタツもある。冬の電気代ははねあがり、(光熱費を払っている)31歳女性の財布に襲いかかっておった。

「今年はできるかぎり暖房を使わないよ!」

そう宣言した31歳が、楽天で注文したのが『着る毛布 グルーニー』というやつだった。

これがグルーニーです

名前からだいたい想像はついていると思うが、どんなものか見ていただきたい。

これである。

まさに着る毛布、それ以外の何物でもない。

私の顔がすごく偉そうなのは、グルーニーを手に入れた優越感からである。気にさわったら申し訳ない。

グルーニーを着ると電気ストーブが不要になった

グルーニーを着ているだけで冬だということを忘れる。格好こそ馬鹿みたいだが、異常な保温力で、身体から出た熱を外に逃がさない。

届いて以来、たった数日でグルーニーなしの生活が考えられなくなった。

最近は寒くなってきていたので、小部屋で電気ストーブを使っていたのだが、グルーニーを着ていると、ストーブを付けなくても暖かい。


▲不要になった電気ストーブ

もっと早く出会っていたかった。電気代がかなり違っていただろうし、31歳女性の機嫌も違っていたのではないだろうか。

ちなみに、脱いだら普通に毛布としても使える。


▲毛布として利用

寝転がっても偉そうなのは、グルーニーを手に入れた優越感からである。

オレンジ色は似合わないのでやめたほうがいい

そんな感じで、グルーニーが来てから暖房がいらなくなったという話なのだが、最後にひとつだけ。

私が着ているのはバヤリースも顔負けの鮮やかなオレンジ色だが、これ以外にも色はたくさんある。31歳女性がなぜか私用にオレンジを選んだので、こんなことになっている。本人は紺色のシックなものを注文していた。

「いちばん似合いそうにない色だったからね」

オレンジ色を選んだ理由を、31歳はそう述べた。

こういう冷ややかな嫌がらせも、グルーニーは暖めてくれます。

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44 イイゼ!
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ヘアワックス追悼

ヘアワックスが死にました。

目覚めるとカチカチになっておりました。かつての柔らかで伸びやかな面影はなく、開きっぱなしのフタの下で、コンクリートのような固さになっておりました。指でさわれども昔のように付着することはなく、強くこすると、垢のようなポロポロしたものが指先に付きました。

すこし前に思い立って購入したヘアワックス、27にして色気づいた自分の期待を一身に背負って、我が家にやってきたヘアワックス、彼の死を受け入れることができません。死因ははっきりとしています。フタを開けたまま放置したことが原因なのです。空気にふれることで、ヘアワックスはあっさりと固形化し、髪型をセットするという本来の機能を失ってしまいました。

私には余裕がありませんでした。ヘアワックスを指先につけて、鏡に向かうとき、心臓の鼓動は高鳴り、これからやってくるスタイリングのために、全神経を集中しておりました。だから、ワックスのフタを閉めるという、とても簡単な作業ですら、頭から抜け落ちておったのです。

ヘアワックスにもてあそばれ、望むような毛束感をゲットできず、田舎の中学生を15年ほど老化させたような外見になって、鏡の前に立ち尽くし、「明日こそ、明日こそは」と誓った自分、たいていの男性が思春期のころに獲得しているヘアワックスのコントロールを、27にもなってまともに習得しておらぬ自分は、翌日、洗面台でカチカチになったワックスを発見したのでした。

短い間でしたが、私はヘアワックスにありがとうと言いたい。たしかに私はカッコよくなれなかった。イメージとかけ離れたヘアスタイルにしかなれなかった。それでもワックスのことを責められない。いまではカチカチになり、冬を越せなかった小動物のように、洗面台の片隅でうずくまっているヘアワックスよ。

ありがとう、さようなら。

次に生まれ変わった時は、オダギリジョーに買われるといいね。

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