読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

真顔日記

上田啓太のブログ

テクノロジーがアホらしさを産み落とした瞬間

同居女性のスマホが妙に鳴る。ピンポーンという明るい音。ニュース記事を読むアプリを入れたらしい。あたらしい記事が配信されたときの通知音だという。このあいだも鳴っていた。

へえ、と思って画面をのぞくと、ズラッと並んだ記事のいちばん上に、「うんちの量と美人の関係」と書いてあった。いったい、何の記事を読もうとしているのか。

「ひどい偶然だよ!」と女性は言った。

「読もうとしたわけじゃないの?」

「読もうとしたわけじゃないよ!」

同居人の弁明によれば、これは勝手に配信されたものであり、自分で望んで読もうとしたものではない、うんちの量と美人の関係にあたしは何の興味もない、うんちの量と美人の関係を知りたいと思ったことは人生で一度もない、この見出しに何の引力も感じない、美人がどんな量のうんちを出していようが知ったことか、ということだった。

「読まないの?」

「読まないよ! 読むわけないでしょ!」

カッと目を開いて断言していたが、長く居候してきた身で言わせてもらえば、こういう場合、この女はかくじつに読む。あとでこっそり読んだはず。「ほほーん」的な反応をしたはず。あごに手をおいて。

しかし、わざわざピンポンと音をならして、うんちの量と美人の関係をお知らせするというのは、現代文明のゆがみだと思う。最新型のスマートフォンで、うんちの量と美人の関係についての情報を受け取る。日本のあちこちで通知が鳴り、多くの人々がうんちの量と美人の関係を受け取る。テクノロジーがアホらしさを産み落とした瞬間を見てしまった気分。

ネットという公共空間に配信するんだから、もう少しマシなタイトルを付けりゃいいのにと思うが、まあ、私の言えた義理ではない。すこし前に、「うんここじらせ男子という存在がいる」という記事を書きましたからね。完全に同じ穴のむじな。うんこをこじらせたり、うんちと美人が関係したり、現代の人間も大変だ。排便くらい、自然現象として淡々とやりたいもんですが。

余談だが、「むじな」という言葉、なんかうんこっぽい。東北あたりの方言で、うんこのこと、むじなって言いそう。まあ、これはマジで余談ですが。余談としての強度がすごいですが。あ、みなさんメリークリスマス。