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真顔日記

上田啓太のブログ

ハーゲンダッツは登山である

同居女性がハーゲンダッツを買ってきた。スーパーの商品券を使ったらしく、私の分もあるという。これは嬉しいニュースである。さっそく大喜びで食べた。しかしこのハーゲンダッツが変化球のものだった。後半でプリンの汁が出てきたのである。

「いやカラメルソースだから」と女性は言った。

「変な言い方しないで」

しかし私にとって、後半でいきなり飛び出した液体はプリンの汁(カラメルソースの蔑称)と言いたくなるマイナスのサプライズであった。私だってコンビニ等でプリンを買った時に味わうことになるあれは丁寧にカラメルソースと呼ぶが、場違いなところに登場されればプリンの汁とも呼びたくなる。

同居女性は様々なハーゲンダッツのなかでもプリンの汁が内蔵されたこれがいちばん好きらしく、見ると冷凍庫に二つも入っていた。自腹でもうひとつ買ったという。しかしこんなものは普通のハーゲンダッツに飽きた人間の食べ物ではないのか。王道に飽きた貴族の遊びではないのか。日常的にハーゲンダッツを食べている同居女性はいい。しかし私のようなバニラ味すらほとんど食べたことのない人間がいきなり食べていいものなのか!

「知らないよ!」と言われた。

まあ、そうだと思います。興奮してすみません。

数日後、自腹でハーゲンダッツのバニラを買った。しかしバニラはバニラでみっちりしていた。ものすごく密度の高い食べ物だと思った。女性は「途中で疲れるでしょ」と言った。これは言い得て妙だと思った。小さなカップなのに、中盤で疲労感がある。アイスひとつ食べるのに「中盤」という表現をしている時点でおかしい。フルコースじゃないんだから。

正直なところ、私は爽とかスーパーカップのほうが好きである。とくにこの夏はスーパーカップのバニラばかり食べていた。小さなカップが6つで400円。安い男である。しかし私はアイスを食べて疲労こんぱいになりたくない。私にとっちゃハーゲンダッツは登山である。強い意志と入念な準備がいる。そのうえで一歩一歩進んでゆかねば食べ切れない。1個300円の山脈。それがハーゲンダッツなのである。

山脈だと考えると安いですね。