真顔日記

上田啓太のブログ

オカムラの10万円のイスにすわる居候

私は10万円のイスに座っている。小部屋ではずっとこのイスだ。

この家に転がりこんですぐに自分で買った。まだバイトの貯金があったからだ。100%自費購入。だから誰にも文句をつけられる筋合いはない……のだが、居候なのに10万円のイスに座っているという状況を俯瞰すると自分でも笑う。いいご身分ですね。

ちなみに、オカムラというメーカーの「バロン」というイス。居候なのにバロンである。男爵である。爵位をいただいている。本当にいいご身分ですね。

デスクは、アマゾンで買った6000円の安いやつを使っている。「とにかくイスに金をかけろ、机は適当でいい」とネットで読んだからだ。これは正しかった。たんなるフラットテーブルだが、問題なく六年使えている。イスがよければそれでいい。

だから私はオカムラのバロンを絶賛するんだが、同居人はそれほど興味を示さない。「あんたのあれ、ほこりまみれだよ」と冷静に言ってくる。正確には「ほこりまるけだよ」と言ってくる。方言なんだろう。聞き慣れない方言で切り捨てられてしまう。

そしてたしかに、私のバロンはメッシュの部分に、ほこりとネコの毛が大量に付いている。定期的に取ってもすぐ戻る。ほこりまるけだ。

同居人は冷めた目で言う。

「大体ああいうイス、すぐ人間工学にもとづこうとするでしょ」

この発言はどうかと思った。難癖の付けかたがひどい。チンピラでもやらないレベルの難癖。「テメエ、人間工学にもとづいてんじゃねえよ」。さすがに言わない。

「あと、すぐアルゴリズムとか言い出すし」

これには違和感があったので「アルゴリズムとか言うか?」と返した。しかし「じゃあ何なのよ」と問われると、私も分からない。そのまま話は終わった。

あとから調べたところ、「エルゴノミクス」だった。人間工学を英語で言うと「エルゴノミクス」になるらしい。あやふやに覚えていたんだろう。しかしまあ、覚えられる気がしない単語ですね。エルゴノミクス。ジュラ紀の地球をノシノシ歩いてそう。

私はオカムラのイスと日々をともにして何の不満もない。あっさりと最高のイスを見つけてしまった。しかし、購入を検討していたときは他の可能性も考えていた。バランスボールをイスがわりにする方法はどうなんだろうとか、アーロンチェアというのは座り心地が違うんだろうかとか。

当時気になったのは、この変なイス。 

ものすごく変な形だが、良いらしい。バランスチェアと呼ばれている。値段もかなりする(これは4万円)。しかし、とにかく見た目のインパクトがすごい。あまりに得体が知れないので逆に興味がある。

アマゾンのページには色々と理屈が書いてあった。研究に研究を重ねた結果、こうなったらしい。要するに、人間工学にもとづいた結果なのである。ちょっと、同居人の言う意味がわかった。たしかにこいつら、すぐ人間工学にもとづこうとする。