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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

飼いネコの正体が稲川淳二だった

ネコのはなし

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 うちの影千代は毛が長い。いわゆる長毛のネコというやつ。だから顔まわりの毛を押さえこむだけで雰囲気がかわる。長髪の男が短髪にしたような変化と言えるだろうか。柔らかい印象から、キリッとした印象に変化する。

 なので我々は、影千代はおっとりしているけれど毛を押さえつけるとスマートになる、などとネコバカ丸出しの会話をしながら日々をすごしていた。しかしこれは「毛を押さえつける」の度合がゆるいから言えることだった。

 あるとき、影千代をペット用美容院に連れていった。シャンプーとブラッシングをされて、影千代の毛はさらさらになった。いい匂いもした。会計の時、美容師がシャンプー中に撮影したという写真をくれた。「記念にどうぞ」ということだった。しかしそこに写っていた影千代のすがたは変わり果てていた。我々はゲラゲラ笑った。

 その姿は稲川淳二のようだった。

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 今にも怪談を話しはじめそうな、この雰囲気は何なのか。

「ありゃあ、五年前の夏のことだったかなあ……」なんて言っているじゃないか。

 美容師が左上に「影千代ちゃん」と名前を入れてくれているが、その実体は明らかに影千代ちゃんじゃなく稲川ちゃんであり、シャンプーされながら美容師に怖い話を語っていたのではないかと思わされるほどだ。

 我々は飼いネコの正体が稲川淳二だったことに衝撃を受け、影千代を見る目が完全に変わった。このネコには人の股間に顔をつっこんで激しく呼吸する癖があり、それも我々は「カワイイ」の一言で済ませていたんだが、正体が稲川だと分かった今、素直にカワイイとは言いにくい。

 人の股間に頭をつっこんで、グリグリと動かしてくる稲川。ゴロンと寝転がって、おもむろに自分のきんたまをなめはじめる稲川。床に這いつくばって、銀バエを口の中でクチャクチャやる稲川。影千代とのさまざまな思い出が、どれも稲川というかたちで書き換えられていく。これぞ怖い話である。

 ということで、毛の長いネコを飼っている人は、一度その正体を確かめておいたほうがいいと思います。正体が稲川の可能性がありますので。