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真顔日記

上田啓太のブログ

直木三十五と山本五十六の共謀

世間で話題になる文学賞といえば芥川賞と直木賞。芥川賞は芥川龍之介、直木賞は直木三十五の名を冠しているわけだが、芥川龍之介にくらべると直木三十五という文学者の知名度は低いように思う。私も小説を読んだことはない。

ただ今回はそれ自体はどうでもよくて、私が書きたいのはこの人の名前の読み方。私はこれを長いこと「なおきみそご」と呼んでいた。しかし正しくは「なおきさんじゅうご」なんですね。それを長いこと知らなかった。

以前、クイズ番組を見ていたとき、男性アナウンサーがものすごく真面目な顔で「正解は、なおきさんじゅうご」と言っていた。公共の電波でひどい読み間違いを見たと思った私はヒイヒイ笑った。「さんじゅうごなわけねえだろ!」と。「ひっでえミス!」と。私は酒を飲んでいた。

しかしウィキペディアで調べてみると「さんじゅうご」が正しかった。間違っていたのは私だった。ススーッと笑いの波が引いたのを覚えている。ビールのロング缶を握りしめながら「まじで……?」と思っていた。

これを「みそご」と読んだ理由は想像がつく。山本五十六のせいである。子供のころに歴史の授業で習った。みなさんご存知のとおり、これは「いそろく」と読む。それは知っていたし、面白い読み方だということで子供ながらに記憶した。これがズルい。

というのは、山本五十六を「いそろく」と学習した段階で直木三十五を見せられれば応用問題だと考えるからである。実際、私は考えた。心の指をパチンを鳴らした。しかし引っかけ問題だった。五十六はいそろくだが、三十五はさんじゅうごなのである。山本五十六と直木三十五による共謀である。あの二人は、未来の人間たちをだますためのトリックを仕掛けて死んでいった。

 *

私の生活の中心には、音声ではなく文字がある。本とネットが中心で、テレビとラジオはめったに登場しない。だから漢字の読みまちがいに気づく機会が少ない。たとえば「橋下徹」が「はしした」なのか「はしもと」なのか、いまだに不安になる。というか、「はしもと」なんですが、ぜんぜん頭に定着しない。もう何度も確認している。声に出すときは常に疑問形だ。

女子アナで「水卜麻美」という方がいるようなんだが、これも「みずと」だと思っていた。しかし「みうら」らしい。このへんはテレビに出ている人だから普通はあまり勘違いしないんだろう。しかし私はネットニュースでしか名前を見ないから間違える。家にテレビがないことの弊害だ(正確にはアナログテレビしかない)。

プロ野球だと、ベイスターズに「筒香」という打者がいる。セリーグの本塁打王。私は長いこと「つつか」と読んでいたが、実際は「つつごう」だった。この読みを知った瞬間、一気に本塁打王としての風格が生じて勝手に感動していた。「つつか」というのは二番あたりで小技をきかせていそうな響きだから、本塁打を量産していることに納得がいかなかった。

もうひとつベイスターズでいえば、「DeNA」というのも文字だけで読んでいた期間が長く、勝手に「ディーナ」とルビを振っていた。しかしこれは「ディーエヌエー」と読む。ムズいですよ。「それならeいらないじゃん」と思ってしまう。eがなければ素直にディーエヌエーと読んでたのに。eなんか混ぜるから!

読みを勘違いしたままの言葉は、まだまだ大量にあるんだろう。しかし気にしはじめるとキリがない。神経質になればいくらでも疑える。山田(やまでん)とか佐藤(さふじ)とか太郎(ふとろう)とか言いはじめてしまう。ということで、最後にみなさんをむやみに混乱させて終わろうと思います。

 宮崎駿(みやさきしゅん)
 村上春樹(むらうえはるき)
 本田圭佑(もとだけいすけ)
 イチロー(いちぐちはじめ)

いちぐち選手の3000本安打は本当に感動しましたね。それでは。