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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

紅茶の悲劇

居候生活

このあいだ、といっても三ヶ月ほど前になるが、ブログのヘッダ画像を作った。パソコンとスマホの両方で表示されている。同居人に作ってもらった。彼女はデザイナーなんで、こういうことをしてもらえるのである。

ブログによく出てくるものをコラージュしている。具体的に言えば、4匹の飼い猫たち、ゴリラ、京都の象徴としての寺院、それにアルパカ(同居人の顔はアルパカに似ている)。イチゴとキュウイは鮮やかな色がほしかっただけで、ブログとは無関係。

なお、このブログに出てくるといえばaikoなんだが、肖像権の問題もあるし不可能だと思っていた。しかし同居人はカブトムシとテトラポットの画像を使うという荒技で乗り切っていた。頭のまわる女だが、それでいいのかという気もする。説明なしじゃ、わけがわからんだろう。

画像制作のお礼に近所のイタリア料理店でランチをおごった。前菜、サラダ、メインのパスタにデザートとドリンクで1700円。ふんぱつした(私にしては)。

注文時、ドリンクを何にするか尋ねられた。

普段の私はコーヒーを頼むんだが、朝にコーヒーを飲んだところだと気づき、とっさに「紅茶」と言った。しかし私は紅茶の注文システムに慣れていなかった。結果、「レモンとミルクはどうなさいましょう?」と店員に言われて、反射的に「両方ください」と答えていた。店員はフリーズし、向かいの席では同居人が吹き出していた。

「りょ、両方ですか?」

店員に言われ、私は自分が何かおかしなことを言ったんだと悟ったが、まだ何がおかしいかは分からず、「あっ、アア…」と色気のある吐息をもらした。なぜ唐突に絶頂に達するのか。

私の誇りのために言わせてもらうならば、レモンティとミルクティ、それぞれの存在は当然知っている。トン、トン、トンというリズミカルな会話の流れに対応できるほど紅茶の注文に馴染んでいなかっただけだ。店員の言い方が「どうなさいましょう?」なのも問題だった。「どちらにいたしましょう?」だったなら、間違えたあげく絶頂に達することもなかった。

以上、言い訳おわり。

私は耳を赤くしながら「ミルク」と言った。店員は去っていった。本当はレモンにしたかったんだが、パニック状態だったのでミルクと言った。混乱状態でよくあることだ。向かいの席では女が笑っていた。店員が去ったことで遠慮なく笑えると思ったんだろう。前歯まるだしのいつもの笑顔であった。

そんなことがあったから、イタリアンは美味しかったはずなのに記憶にない。飲みたくもないミルクティの味だけを覚えている。帰り道、同居人は私の真似をして、何度も「あっ、アア…」と言っていた。やめなさい、人をからかうのは。