真顔日記

上田啓太のブログ

新たなネコ、ミケシについて

完全に書くタイミングを逃していたんだが、すこし前からネコが1匹増えている。4匹になっている。腹を出して熟睡するほど我が家に馴染んでいる。

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事の発端は夏の夕方だった。

同居人が台所で皿を洗っていた時、小窓の向こうからネコの鳴き声がきこえてきた。ネコとなると本能で動く女だ。同居人は反射的に窓を開けた。一匹のミケ猫が室内をのぞきこんでいた。野良らしく非常に警戒している。だが、同居人が皿にえさをいれて小窓のむこうに置くと、おそるおそる食べはじめた。

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これが出会いだった。夜になると小窓のむこうで鳴いて、えさを食べにくる日々が続いた。家には入ってこないし、さわらせてもくれない。手をのばすと逃げていく。かなり野良生活も長いんだろう。

「ていうか、飼うつもりなの?」

私はたずねた。3匹目のセツシが家に来たとき、「もう増やさない」と宣言していたからだ。これは当時の日記にも書いた。「飼うよ」同居人は真顔で答えた。宣言は無効になったようだった。もっとも、私はたいして驚かなかった。同居人の態度は早い段階で軟化していたからである。ある時など、

「もう絶対ネコは飼わない! もしも飼うならキジトラの女の子!」

と言っていた。こんなものは、「もう絶対ビールは飲まない! もしも飲むならスーパードライ!」みたいな発言であり、完全に矛盾している。銘柄指定しちゃったよ、と思いますね。

そもそもミケはキジトラではないが、どうでもいいようだった。同居人は粘り強く交流を続けた。そしてある時、窓の向こうではなく室内に皿を置いてみた。ミケは小窓からピョンと家の中に飛び込むと、おそるおそるえさを食べはじめた。瞬間、我々はガッと小窓を閉めた。捕獲完了である。

同居人はネットで購入した大型のケージにミケをいれた。他のネコたちに馴染ませるためにしばらくは隔離して飼うらしい。明るい光の下で見ると、ミケは野良のくせに妙に綺麗な顔立ちをしていた。我々は「野良の読者モデルだ」と言い、「野良モデルだ」と言い、最終的に「野良モだ」というところまで短縮された。

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「こんな美人が野良モをしてたなんて!」

同居人は一人で騒いでいた。

しかし最初の一週間は大変だった。外に出せと鳴き続けるし、他のネコたちはその声に怯える。われわれの心も折れそうになった。すでに野良として二歳ほどになっているから、今から家で飼うのはむずかしいのでは? 病院に連れていくと、獣医は神妙なおももちでそう言った。

やはり外に放してやったほうがいいんだろうか? われわれも神妙なおももちで話し合ったが、二週間を過ぎると不満の鳴き声は激減し、態度は急変、平気で腹を出して寝るようになった。人間にも甘えてくる。獣医の神妙なおももちは何だったのか。これはもはや野良ではないということで、われわれは「野良モ」と呼ぶことをやめ、名前を「ミケシ」に決めた。

ということで現在、うちには4匹のネコがいる。初音、影千代、セツシ、ミケシである。こう並べてみると、3匹目から露骨にネーミングが適当になってますね。考えることをやめたな、という感じ。さすがにもう増えないと思うが、新たなネコが小窓に来れば受け入れてしまいそうだ。絶対に小窓に来ないでください。とくにキジトラの女の子。