真顔日記

上田啓太のブログ

『岬めぐり』は名曲だが、我々はもはや岬に行かない

DREAM PRICE 1000 山本コウタロー&ウィークエンド 岬めぐり

iTunesをランダム再生していたら山本コウタローとウィークエンドの『岬めぐり』が流れてきた。これは本当にいい曲。

もっとも私が生まれる前の曲なんで、山本コウタローが誰なのかも、ウィークエンドが何なのかも知らない。ただ曲だけ聞いている。古い曲はたいていそうだ。アマゾンの画像によると三人組のようだが、どれが山本コウタローなのかも分からない。しかし良いものは良い。

岬めぐりを聴いて感動していると、三十六歳女性が妙なことを言い出した。

「岬めぐりって、趣味としてありえなくない?」

なぜ趣味の話になるのか、さっぱり分からなかったんだが、詳しく聞いたところ、三十六歳は「岬めぐり」というのを、「カフェめぐり」とか「美術館めぐり」みたいな意味で受け止めていたようだった。

つまり、現代の女子がカフェや美術館をめぐるように、昭和の女子は岬をめぐることを趣味としていたのか、昭和というのはそこまで娯楽のない時代だったのか、というのが三十六歳女性の意見であった。これはめちゃくちゃな勘違いだったので、私はゲラゲラ笑ったんだが、三十六歳は「いや説明してよ! なにがおかしいの!」とおかんむりだった。なので私は説明した。

これは別れの歌である。主人公の男は、恋人と行くはずだった岬に一人で来ている。いっしょに行こうと約束していたのに、果たせないまま別れてしまったのである。「岬めぐりのバス」に乗りながら、主人公は悲しみに浸っている。「くだける波のあの激しさで、あなたをもっと愛したかった」と思っている。

三十六歳女性はとりあえず納得したが、今度は、

「昔のカップルって岬行く約束とかしてたの……?」

と言い出した。ここで私も考えてしまったというか、たしかに現代、平成も二十八年となった今、カップルはデートで岬に行かない。私も彼女と岬に行った記憶などないし、友人に「こないだ彼女と岬行ってさ」と言われたこともない。誰も岬に行ってない。ユニバとかに行っている。

「行かないよ、岬」と三十六歳は言った。

「うん」と答えるしかなかった。

岬めぐりは名曲だが、我々はもはや岬に行かない。「岬に行く約束をしたのに別れた」よりも、「ユニバ行く約束したのに別れた」がリアル。それが2016年という時代なのか。いっそのこと、そういうコンセプトで西野カナあたりにカバーしてほしい。山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」を、数十年の時を経てリメイクするのである。

西野カナとふるえるトリセツの「ユニバめぐり」。

この企画でいこう。なかなかいいんじゃないだろうか。書いててちょっと聴きたくなってきたもん。西野カナとふるえるトリセツの「ユニバめぐり」。彼氏と行くはずだったユニバを一人でめぐる女の歌。たぶん泣ける。