真顔日記

上田啓太のブログ

『岬めぐり』は名曲だが、我々はもはや岬に行かない

DREAM PRICE 1000 山本コウタロー&ウィークエンド 岬めぐり

iTunesをランダム再生していたら、山本コウタローとウィークエンドの『岬めぐり』が流れてきた。私が生まれる前の曲なので、山本コウタローが誰なのかも、ウィークエンドが何なのかも知らない。ただ曲だけ聞いている。古い曲は大抵そうだ。アマゾンの画像によると三人組のようだが、どれが山本コウタローなのかすら分からない。しかし良いものは良い。

岬めぐりを聴いて感動していると、同居人が妙なことを言い出した。

「岬めぐりって、趣味としてありえなくない?」とのことである。

なぜ趣味の話になるのか、さっぱり分からなかったんだが、詳しく聞いたところ、同居人は「岬めぐり」というのを、「カフェめぐり」とか「美術館めぐり」みたいな意味で受け止めていたようだった。

つまり、現代の女子がカフェや美術館をめぐるように、昭和の女子は岬をめぐることを趣味としていたのか、昭和というのはそこまで娯楽のない時代だったのか、というのが同居人の意見であった。

これはめちゃくちゃな勘違いだったので、私はゲラゲラ笑ったんだが、同居人は「いや説明してよ! なにがおかしいの!」とおかんむりだった。なので私は説明した。

これは別れの歌である。主人公の男は、恋人と行くはずだった岬に一人で来ている。いっしょに行こうと約束していたのに、果たせないまま別れてしまった。「岬めぐりのバス」に乗りながら、主人公は悲しみに浸っているのだ。

同居人はとりあえず納得したが、今度は、

「昔のカップルって岬行く約束とかしてたの……?」

と言い出した。それで私も考えてしまったというか、たしかに現代、平成も二十八年となった今、カップルはデートで岬に行かない。私も彼女と岬に行った記憶などないし、友人に「こないだ彼女と岬行ってさ」と言われたこともない。誰も岬に行ってない。ユニバとかに行っている。

「行かないよ、岬」と同居人は言った。

「うん」と答えるしかなかった。

岬めぐりは名曲だが、我々はもはや岬に行かない。「岬に行く約束をしたのに別れた」よりも、「ユニバ行く約束したのに別れた」がリアル。それが2016年という時代なのか。

いっそのこと、そういうコンセプトで西野カナあたりにカバーしてほしい。山本コウタローとウィークエンドの「岬めぐり」を、数十年の時を経てリメイクする。西野カナとふるえるトリセツの「ユニバめぐり」。この企画でいこう。なかなかいいんじゃないだろうか。書いててちょっと聴きたくなってきたもん。彼氏と行くはずだったユニバを一人でめぐる女の歌。たぶん泣ける。