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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

ネコの日課とふるえる人間

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冷凍庫に同居女性の買ったガツンとミカンが入っていた。あの女はアホなのかと思った。今日は四十年ぶりの強い寒波が来ていて、最低気温がマイナス4℃だからである。そんな時に、よりにもよってガツンとミカン。たしかにこのアイスはうまい。しかしそれは太陽の照りつける真夏においてである。真冬にガツンとされてどうする。死ぬぞ。

「それでもなんだよ!」と女性は言った。

真冬でも食べたいほど好きらしい。私のガツンとミカンにたいする愛情とは次元が違うということか。私にとっちゃ真夏に一度か二度食べりゃじゅうぶんなものである。冬は存在すら忘れている。しかし同居人は真冬だろうがガツンとされたいようだ。

冬だろうが関係ないといえば、ネコもそうである。うちのネコたちには「窓から外をジッと眺める」という日課があり、これは異常がないかを確認しているようだが、真冬だろうがネコはこの日課を欠かさないのである。

人間ならば、寒いから今日はいいやとサボることもあろうし、そもそも異常なんて一度もなかったし今日限りでやめよう、自分は無意味な日課をやって本当に愚物だったと学習することもありそうだが、ネコはそのへんの融通がきかない。だから時間になると窓の前に集まり、これを開けろと鳴きはじめる。われわれは無視する。寒いからである。

しかしネコどもの鳴き声はやむ気配をみせない。むしろ神経を逆なでする鳴き方に変えはじめる。「ニャー!」から、「ヌァ〜! ヌアァァ〜!」へ。異常があったらどうするのか、おまえたちに責任が取れるのか、というアピールだ。

あらためて書くが、異常などあったことはない。

根負けした同居人は窓を開けてやる。ネコたちはピャーッと窓際に寄り、ジッと外を見つめる。四十年ぶりの名に恥じない寒波が部屋に入ってくる。われわれは歯をガタガタふるわせる。真冬にガツンとされることは良しとする同居人も、さすがにこれを良しとはしないらしい。背中を丸めてさけぶ。

「こたつで丸くなってよ!」

ネコには届かない意見である。

犬はよろこび庭かけまわり、ネコはこたつで丸くなる。そんな歌を幼少期に聞かされたが、実際は違うらしい。日課は日課、仕事は仕事、異常がないことを確認するまでは、こたつで丸くなることなど言語道断。それがネコの考えらしい。おかげでわれわれはガタガタふるえつづけた。もちろん最後まで何の異常もなかった。頼むからいいかげん学習しろ、死ぬぞ(飼い主が)。