真顔日記

上田啓太のブログ

アルフレッドビーチサンダルの人魚

最近、アルフレッドビーチサンダルというミュージシャンを知ったんだが、この人が春に出したEPがすごく良い。全四曲収録、最初の三曲はオリジナルで、最後にNOKKOのカバーである『人魚』が収録されている。まず最初の三曲がどれもかっこいい。それだけでも打ちのめされる感じ。しかし四曲目のNOKKOのカバー、これがさらに良い!

『人魚』という曲は、これまでなんとなくでしか知らなかったんだが、この人のカバーによって凄まじい名曲だったと知らされた。気に入った曲があると何度も流すのが自分であるから、この土日は人魚ばかり聴いていた。耳が人魚漬け。

同居女性は音楽そのものに興味がないんで、私が「人魚良い、人魚最高」と連呼していても、反応は鈍い。「こいつ、妙な趣味にでも目覚めたんだろうか」という顔をする。男も三十をすぎると下半身が魚の女に興奮するんだろうか、みたいな顔。

一応、これはNOKKOの『人魚』って曲をカバーしてんだよ、と教えてみるが、

「NOKKOはなあ……下の名前をローマ字で書くような女だしなあ……」

と言われてしまい、即座にaikoと同じ箱に入れられる。とにかく下の名前がローマ字の女を好意的に聴いてもらうのはむずかしいのである。カバーだし歌ってんのはNOKKOじゃなくて男じゃん、と言ってみるが、

「下の名前をローマ字にする女の曲をカバーするような男だし……」

と言われる。

こうなると、多少、妙な理屈になっている。そんなことを言うならば、私は下の名前をローマ字にする女の曲をカバーする男の曲にハマッている男であり、同居人だって、下の名前をローマ字にする女の曲をカバーする男にハマッている男を住まわせている女である。知り合いを辿っていけば六人以内で誰にでも到達できるのであり、人はみな、下の名前をローマ字にする女と六人以内でつながっているのだ。

しかし、この(屁)理屈は今書きながら思いついたのであり、その時の自分は「そうだけど」とだけ言った。

「そうだよ」と女性は言った。

それでも一応、名前だけは覚えてもらおうと思い、「これはアルフレッドビーチサンダルという人が歌っているんだ」と言っておいたが、まあ、確実に覚えないだろうなと思わせるリアクション。

というのも、アルフレッドビーチサンダルと言われた時の「はあ」という顔が、完全に言葉を覚える気のない顔なんですね。新たに言葉を覚えようと思ったら、人は絶対にあんな顔にならない。全身の力が抜けてました。虚脱してます。あんな状態で、アルフレッドビーチサンダルというややこしい名前を覚えられるはずがない。あの状態じゃ三文字の言葉でギリ。子供用便器の名前は「おまる」。それで限界という感じでした。

Honeymoon

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