真顔日記

上田啓太のブログ

ネコに目薬をさす

ネコというのは、すこし体調が崩れると目ヤニが出はじめる。その場合、動物病院でもらってきた目薬をさしてやるんだが、これが非常にストレスらしい。

このへん、ネコを飼うことのむずかしさがあって、ネコの健康のためにネコのいやがることをせねばならん瞬間が訪れる。このような時ほど「心を鬼にする」という表現がしっくりくることはない。カワイイカワイイと言ってるだけじゃいかんと覚悟するのである。

今日は初音の目の調子が悪かった。しかし目薬をさそうとすると初音は逃げはじめる。それを無理につかまえて、毛布でぐるぐる巻きにし、身動きのとれない状態にして目薬を向ける。すると目を閉じて防ごうとするので、私が無理やりに目を開き、そこに同居人が目薬をさす。

こうしてなんとか点眼は完了するわけだが、今度はストレスで、口からブクブクと泡を吹きはじめる。本当に大量に吹く。同居人はこの状態をシンプルに「カニ」と呼ぶ。無駄のない表現で好ましい。

好んでいる場合ではない。というのは、「嫌われてもいい」という覚悟でネコに目薬をさした場合、実際に嫌われるからである。そこに何の意外性もない。予想どおりの展開を見せる。しばらくのあいだ、ネコは飼い主に冷たくなるのである。

その後の修復はネコによって違う。うちの場合、影千代とセツシは単純である。点眼されると怒りはじめるが、「ちゅ~る」というペースト状のエサを与えられると、一瞬で機嫌が直る。「やっぱり大好き!」てなもんである。簡単すぎて不安になるほどだ。お願いだから悪い奴らに捕まらないでほしいと祈りたくなる無邪気さ。

しかし、初音は根にもつタイプ。半年間の野良経験のせいだろう。ちゅ~るを与えると一応ペロペロ舐めるが、その表情は「やっぱり大好き!」からはほど遠い。ネゴシエーターのような険しい顔つきで、しぶしぶ舐める。「今回はこれで手打ちだ」という顔。