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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

Tポイントカードなんて嫌いだったのに

日々と思考

最寄りのコンビニがファミリーマートなんだが、例の「Tポイントカードはお持ちですか」という文句に日々うんざりさせられている。現在、日本列島のあらゆる場所で膨大な数の人間がうんざりさせられているんじゃないか。Tポイントカードなど持っていないし、作る気もない。なのに毎度聞かれる。

このあいだ三日連続で深夜三時にファミリーマートに行ったんだが、三日連続で同じ店員がレジにいて、三日連続でTポイントカードを持っていないかと尋ねられた。さすがにぶちぎれそうになる。覚えてくれと。深夜三時に来る客なんて限られているだろうし、買うものも毎回似たようなものだし、何よりも三日連続だ。

だから、どんどんTポイントのことが嫌いになっている。死んでもそんなポイントは集めたくないと思っている。どれだけ得しようが集めたくない。これほどのネガティブキャンペーンもないだろう。自分たちで勝手にネガティブなイメージをばらまいているんだから、ご苦労なことだ。

などと、思っていたんだが。

今日、夜の十一時にファミリーマートに行った。店員は見慣れない男だった。おそらく新人だろう。短髪で肌が白く、背も高い。大学一年あたりだろうか。商品をふくろに入れる手つきもまだ慣れていない。だが、例のくだりはこの店員もやってきた。

「Tポイントカードはお持ちですか?」

「ないです」と私は即座に答える。例のルーチンワークである。

ここで店員が予想外の反応を見せた。

「そうですか……。よかったら今度、作ってみてくださいね!」

そう言ってニコッと笑い、白い歯を光らせたのである。

店員は「はいどうぞ!」と言い、ふくろを渡してきた。私はうんざりしていたはずのTポイントカードのくだりでキュンとしている自分を発見していた。いや、キュンという言葉は正確でない。そんな安っぽい響きではない。厳密に言うならば、

 とくん……

自分の心臓がそんな音を立てるのが聞こえた。

本当に実感したんだが、結局、Tポイントカードのくだり自体が嫌なのではなく、店員自身すら必要性を感じていないやり取りに巻き込まれるのが嫌なのだ。最初に書いた深夜の店員は明らかにTポイントのくだりに疲労しており、相手がカードを持っている可能性をまったく信じていなかった。義務だから仕方なく口にしている。それがこちらにも伝わってくる。店に行くたびに死んだ言葉のやりとりをさせられる。それが不愉快だったのだ。

しかし今回の店員は、新人だからなのか、単にそういう性格なのか、「この人はTポイントを持っているかな?」と本気で思って聞いてきたし、私が持っていないと伝えると、心底残念そうな反応を見せていた。正直なところ、この店員の笑顔が見れるならTポイントカードくらい作ってあげてもいいかなとまで思った。コンビニぶくろを揺らしながら、いつもより大きめの歩幅で家に帰る自分がいたのだ。