真顔日記

上田啓太のブログ

白シャツ維持という不可能事

まったく気づくのが遅すぎるんだが、自分にはTシャツよりもYシャツのほうが似合うらしい。要するに襟のある服が似合うのである。なぜなら肩幅がせまく、胸板もうすいため、普通のラウンドネックでは首から胸にかけての貧相さが際立つ。しかし襟のある服ならば、そのあたりがフォローされてマシになるらしい。

「あんたみたいのはオックスフォードシャツ着ればいいんだよ。普通の白いシャツね」

三十一歳女性(カリスマ)は言った。

しかし、私は真っ白なシャツを汚さないまま、ひとつの季節を越えられる自信がない。このあいだ買った白のソックスなど、一度目の洗濯を終えた段階でオレンジの染みができていた。洗濯の際に色うつりしたのか、気づかずにパスタソースでも踏んだのか(なぜパスタソースを踏むことがあるのか?)、とにかく購入から一週間でさっそく染みができたのだ。

考えてみれば、この世界は白シャツに染みをつける出来事にあふれており、純白を守り抜くことはほとんど不可能に思えるほどだ。たとえば雨の日は、あちこちで無数の泥がはねる。人は泥を浴びても死なないから(酸を浴びるのとはちがう)、とくに気づかずにその場は通り過ぎる。そして家に帰り、白シャツに泥が付着していると気づく。それでおしまい。難易度が高すぎる。

もちろん、命からがら純白を守って帰宅しても油断はできない。洗濯機という安息の地でしばしの眠りにつこうとした白シャツに、色うつりの問題が待っている。洗濯機のさまざまな同室者、藍染めされたTシャツ(ばか)、オレンジ色のセーター(あほ)、派手な色のタオル(とんま)といったチンピラが絡んできて、俺色に染まれと誘惑する。そして白シャツは抵抗しないから、洗濯機がとまるころには妙な色を付けられている。

まったく、不可能じゃないですかね? とりあえず安い白シャツを買ってみたんだが、一ヶ月後には泥まみれになってる気がしてならない。