真顔日記

上田啓太のブログ

選挙カーと三匹のネコ

昼、うちの前を選挙カーが通った。狭い道である。めずらしいこともあるものだ。

三匹のネコは、普段と違う気配を察知して、すぐさま窓のところに集まった。真剣な顔で候補者を見つめ、耳をぴんと立て、演説を聞いている。初音(選挙権なし)も、影千代(選挙権なし)も、セツシ(選挙権なし)も、それぞれに真剣である。

候補者は、いわゆる選挙の候補者が言いそうなことを、選挙の候補者が言いそうな口調で喋っていたので、ほとんど記憶に残らなかったんだが、ひとつだけ、「このような狭い道の安全を向上します」という言葉は印象に残った。

というのは、あまりにも、その場で思いついた感じがしたんですね。「ああ、ええ」という、言うことが思いつかない時特有のだらしない詰まり方からの、「このような狭い道の安全を向上しまあす!」だった。広い道に出た瞬間には忘れていそうだったので、ちょっと笑った。

ネコたちに視線を戻した。初音はすでにこたつに帰っていた。影千代は「抱っこして」という顔でこちらを見ていた。セツシは自分のきんたまを舐めていた。ネコたちは三者三様、それぞれの形で選挙カーに飽きていた。なので私も演説を聞くのはやめ、畳の上にすわりこみ、股関節のストレッチをした。ほとんどセツシと同じ姿勢になったが、きんたまは舐めなかった。

これを人間らしさという。