真顔日記

上田啓太のブログ

京都国立博物館で鳥獣戯画を見た

京都国立博物館で鳥獣戯画を展示すると聞いて、三十一歳女性と行ってきた。国立博物館に行くのははじめてだった。市バスで北大路駅から二十分ほど、場所としては京都駅の近くにあった。最近リニューアルしたらしく建物はやたらと綺麗だった。

鳥獣戯画の前に、明恵という偉い坊さんの展示室があった。まずは明恵の展示を見て、それから鳥獣戯画を見ろということのようだった。「明恵、動物たちの前座だよ、報われないね」と女性は言った。

もうすこし言い方があるだろうとは思ったが、たしかに人々は明恵のいろいろを見つつも、次に待ち受ける鳥獣戯画に意識を奪われているようだった。明恵のために来た人はほとんどいないようである。

「明恵は鳥獣戯画のバーター」と私は言った。

「事務所のゴリ押しだね」と女性が言った。

ここで明恵に謝っておきたい。煩悩まるだしの二人(合計216個)が好き勝手なことを言って申し訳なかった。

鳥獣戯画の展示室はドエライ人の量だった。平日の夜だったんだが、うねうねと行列ができていて、スタッフがそれを仕切っている。並んでから実際に見るまでに二十分ほど待たされた。じりじりと行列が消化されていくのを待つという例の辛いやつである。

そしていざ鳥獣戯画を見る段になっても、スタッフに「足をとめないでください」と言われる。足をとめるなとはすごい言い草だ。戦場じゃないんだから、なかなかそんなこと言われない。おかげで、水平にカニ歩きをしながら鳥獣戯画を見るはめになった。たった三十秒で閲覧は終了した。

「なるほど」と私は言った。

「何がなるほどだ!」と女性が言った。

その後、出口近くの売店でいろいろと見た。こちらも大層な人だかりだったが、足をとめるなとは言われなかった。ポストカードやTシャツなどを売っていた。鳥獣戯画のTシャツはちょっと面白いが、普段着として使うには勇気がいるだろう。女性は数千円の公式図録を思いきって購入し、すばらしい笑顔を見せた。

博物館を出ると徒歩で京都駅に行き、レストラン街でとんかつを食べ、私はビールも飲んだ。そして地下鉄で帰宅した。家に帰ると、三匹のネコが猛ダッシュで玄関にやってきた。「わが家の鳥獣戯画だ!」と女性が言った。