真顔日記

上田啓太のブログ

ネコと近所の子供たち

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いい天気だったので、玄関を開けて鉄網をはめこんだ。ネコたちが外を眺めるためだ。

なぜだか知らんが、ネコは外を見るのが好きである。日課としている。その顔は、見張り台にたつ人のように真剣だ。異常がないかを確認しているのだろう。もっとも、異常などあったことはないんだが。

そのうち、初音が満足して戻ってきた。初音はいつもあっさりしている。影千代とセツシは熱心に見つめたままである。私も様子を見るのに完全に飽きたので居間に戻った。

しばらくすると、表で遊んでいた子供たちが集まってきたらしい。ネコだ、ネコだと騒いでいる。声からすると、幼稚園の女の子たちのようだった。

「ほら、お母さんネコと赤ちゃんネコだよ!」

影千代は無闇に図体が大きいので、いつも親猫と間違われる。動物病院でも間違えられていたらしい。実際はセツシと一歳しか違わない。しかもオスである。なにもかも違う。

私は居間でストレッチしながら、なんとなく声だけ聞いていた。同居女性は、初音を撫でながらネットでネコの画像を見るという、いつもの贅沢な休日の過ごしかたを実践していた。そのうち、セツシが居間に戻ってきた。いつもこの順番だ。影千代がもっとも見張り意識が高い。

外から「じゃんけん! じゃんけん!」という声が聞こえてきた。ネコとジャンケンするつもりらしい。といっても、ネコの手は丸い。あれではジャンケンなど成立しない。しかし、子供たちのやりかたは斬新だった。「ジャンケン・パー!」からの「勝った!勝った!」を繰り返し、全員で爆笑するのである。大人には到底真似できない。こりゃ日々が幸せなわけだ、と思わされた。

その後もジャンケンは続いた。

影千代の0勝12敗だった。

やがて、影千代が憮然とした顔で戻ってきた。納得いかん、という表情だった。いくら人当たりのいい影千代といえども、圧倒的不利なルールでジャンケンさせられりゃ機嫌が悪くなるのかもしれない。

玄関からは、「ネコちゃーん! 行かないでー!」という声が聞こえてきた。さんざんジャンケンで蹂躙しておいて、この言い草。玄関に出ていって私が対戦してやろうかと思ったが(そしてグーチョキパーを見事に操り、影千代の雪辱を晴らしてやろうかと思ったが)、同居女性に止められた。

「変なおじさんが住んでると思われる」とのことである。