真顔日記

上田啓太のブログ

テンベアのカバンを買った

三十一歳女性が新しいカバンを使っていた。ネットで注文したものが届いたらしい。私は興味を示した。というのも、私は十年ほど同じカバンを使っており、いいかげん新しいカバンがほしいと思っていたからである。

「それ、なんてブランド?」
「どうせ知らないよ」
「知ってるかもしんないだろ」
「絶対知らない」
「万一ってことあるじゃん」
「ないよ」
「いいから教えてよ」
「どうせ分かんないよ」
「いいから、奇跡を信じて!」
「テンベア」
「知らない」

女性はすごく不毛な顔をした。私も不毛な気分になった。そもそも私が知っているブランドなど吉田カバンだけだから、吉田カバンでないかぎり分からなかったんだが(そしてどう見ても吉田カバンではなかったんだが)、やはり一応聞いてみたい。知らないことだけでも確認したい。

数日後、私はテンベアのメッセンジャーバッグを買った。露骨に三十一歳女性のファッションに影響されている。身近なカリスマである。カリスマとの同居生活だ。しかも性別がちがう。

新しいカバンは良いものだった。十年使ったカバンをようやく捨てた。テンベアを肩にかけるだけでテンションが上昇する。ウキウキする。これぞウキウキだと実感する。春の陽気とテンベアのダブルパンチで最近の私は笑顔がとまらない。

しかし三十一歳女性と一緒に歩くときは恥ずかしい。色ちがいのテンベアである。仲良しこよしの二人組である。同居人をファッションリーダーにするとこのような弊害がある。安室奈美恵とアムラーが同居生活してるようなものだ。

アムラーという言葉を十五年ぶりくらいで使った。すごく恥ずかしい。なので今日の日記はこれで終わり。