真顔日記

上田啓太のブログ

ネコの鼻は濡れている

20140615

ネコの鼻は濡れている。

気分によって乾くこともあるようだが、濡れていることのほうが多い。もちろん個体差はある。初音はそこまで濡れていない。影千代はひどい。ビショ濡れである。無限の湧き水でもあるかのように、いつ触っても濡れている。おかげで、鼻の白い毛が湿り、ピンクの皮膚が見えている。

あまりにもビショビショなので、三十一歳女性は一時期、影千代のことを「鼻ビショ丸」と呼んでいた。こちらが正式名称になりそうな勢いで呼んでいた。鼻がビショビショの状態でスンゴロ、スンゴロと喉を鳴らしたとかで、「鼻ビショスン五郎」と呼ばれていることもあった。「木枯し紋次郎」と同じリズムだった。

初音は整形したような目をしていることと、鼻にニキビがあったことから、「整形鼻ニキビ」と呼ばれている時期があった。ただこれは「ひどすぎるよ! 妖怪じゃないんだから! こんなにカワイイのに!」と三十一歳女性が言い、すぐに廃れた。もっとも、最初に呼び始めたのも三十一歳女性であった。

今は亡き毛玉も鼻の濡れやすいネコだった。そのうえ毛玉には、親愛の表現なのか、やたらと人に鼻を押しつける癖があった。手を差しだすと、グイグイと鼻先を押しつけてくるのである。それはもう、ざっくばらんな看護婦に脱脂綿をグイグイ押しつけられているような感覚で、けして爽快なものではなかったが、毛玉のいない今となっては、そんなことすら懐かしくなる。この先、ざっくばらんな看護婦に脱脂綿を押しつけられるたびに、毛玉のことを思い出すのだろう。