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真顔日記

上田啓太のブログ

京都で地震があった

昨日の夜、京都南部で地震があった。

そんなニュースを見て、「マジで?」と思った。というのも、私は京都の南部に住んでいるし、気づいてなきゃおかしい。しかし地震などなかった。昨日の夜はいつもどおり小部屋で過ごしていた。意識だってあったはずだ。

記憶を漁ってピンときた。たしかに家がすこし揺れたことがあった。しかし私はそれを地震だと思わなかった。屋根の上を野良猫が走っていったんだと思っていた。平屋だからだろう、たまにこの家の屋根の上を野良猫が走っていく。とくに、近所にはやたらとデカい、俺は路上生活も長いんだって感じのネコがいて、三十一歳女性はそれを「ブタゴリラ」と呼んでいるんだが、そいつが走っていく。すると家はガタガタ揺れる。

だから昨日の夜の揺れも、「いつものネコね」とスルーしていた。三十一歳女性が居間で初音と影千代に「揺れたね~」と言っていたんだが、それも「(巨大なネコが屋根を走ったことで)揺れたね~」という意味だと思っていた。だからこそネコに話しかけたのだと思った。おまえたちの同類が揺らしたんだよ、同類としてなにか感想ある? そう言っているんだと思った。

「なんで上田はノーリアクションなんだろって思ったよ。完全に揺れたのに小部屋から出てこないし」

地震の件を尋ねると、三十一歳女性は言った。揺れた瞬間に気づいていたらしい。

「あまりに無反応だからねえ、やっぱ上田は鈍(どん)なんだな、って思ったよ」

漢字一文字という、最小限まで切り詰められたミニマルな罵倒をされる。

「まあ、はーちゃんも黙々とゴハン食べてたけどね。はーちゃんも意外と鈍なのかな。ちーちゃんだけブワーッて逃げてたよ、逃げるとこなんてどこにもないのにね。あはは!」

何が面白いのか一人でウケておった。

ニュースによると震度3だったらしい。すなわち、震度3は巨大なネコが屋根を走ったときの揺れに等しいと私は学習した。驚くほどの揺れではないということだ。これが震度5程度になると、鈍な私でもさすがに地震だと気づくのかもしれない。あるいは「屋根を馬でも走ってんのかな」と思うのか。

「それはもう鈍じゃないよ。愚鈍だよ!」

罵倒の言葉が、一文字増えたのだった。