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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

春なのにグルーニーを着る男

いまだにグルーニーを着ている。以前書いた「着る毛布」である。凍えるような京都の冬を乗り切るために購入したものだ。それを五月現在も着ている。完全に春なのに、どこからどう見ても春なのに、むしろ初夏の入口に立っていると言ってもいいくらいなのに、着ている。

冬はトレーナーの上にグルーニーを着ていたが、今はTシャツの上にグルーニーだ。パーカーやトレーナーを着てみることもあるが、グルーニーの味を知ってしまった私にはどうも納得がいかない。グルーニーを着ているだけでものすごく心が落ち着いて、穏やかな心持ちになって、顔は菩薩のようになる。

「あんた、毎日二十時間くらいそれ着てるよね」

三十一歳女性にそんなことを言われたこともあった。さすがに二十時間は言い過ぎだろうと思ったが、考えてみれば私はパジャマがグルーニーであり、部屋着もグルーニーである。グルーニーを脱ぐのは外に出る時だけだ。そして私が外に出るのはどれだけ長くても四時間ほど。スタバに行った時だけである。たしかに一日二十時間着ている。スタバに行く時も着れば、二十四時間グルーニーも夢ではない。

「このグルーニー、上田より上田のにおいがするんだけど」

女性はそんなことも言っていた。上田本体を超える上田臭。上田よりも上田臭い。なんだかグルーニーが凶器のように感じられてくる。犬に嗅がせたりしたらアワを吹いて失神するかもしれない。

さて、私は春になっても愛用するほどグルーニーにハマったわけだが、そもそも買うと言い出したのは女性のほうだった。この女は自分用に紺色のシックなグルーニーを購入しておった。そのグルーニーはどうなったのか。三十一歳女性もグルーニーを愛用するようになったのか。

残念ながら、女性はグルーニーを着なかった。冬の間ですら着なかった。昨年十一月、グルーニーを買ってすぐの頃に、こんな事件が勃発したからである。

これを見た女性は、「あたし、この子にグルーニーあげる!」と宣言した。紺色のグルーニーは、ネコ用毛布として第二の人生を送ることとなった。今でもネコが使っている。女性は二回ほどしか袖を通さなかった。グルーニー的には納得いかないと思う。ネコ用毛布になるため生まれてきたわけではないのだ。

もっとも、上田より上田臭くなるために生まれてきたわけでもない。