真顔日記

上田啓太のブログ

「イチャコラ」という方言について

「イチャコラ」という言葉があるらしい。意味はイチャイチャと同じである。三十一歳女性が普通に使っていた。スーパーで男女の店員が楽しそうに話しているのを見て、「イチャコラしてるねえ」とつぶやいたのである。

私は知らない言葉だった。人生二十七年、一度たりともイチャコラという単語が耳に入りこんだことはない。公衆の面前で恥ずかしげもなくベタつくカップルは幾度となく目にしてきた。しかし誰もそれをイチャコラという単語ではあらわさなかった。イチャイチャ、ベタベタという言葉であらわしていたし、純度の高い童貞は歯ぎしりで対応しておった。

三十一歳女性にとっては普通の言葉らしい。奈良の方言だろうか。本人は方言かどうかなど考えたことがないようだった。日本全国どこでもイチャコラで通じると思っていたらしい。関西全般で使われる方言ならば京都や大阪に長く住んでいる私が聞いたことがないのはおかしい。奈良限定ではないだろうか。

村の長老に意見をうかがう気分でグーグルに「イチャコラ」と入力してみた。一番に出てきたのはヤフー知恵袋だった。どこかの誰かが「イチャコラとイチャイチャの違いは何ですか?」と質問していた。まさに求めていた問いである。ワクワクして回答を見た。

「五十年生きていますが、イチャコラなんて言葉をつかったこともないし、聞いたこともありません」

イチャコラ全否定。

五十年生きてきた長老によって、完膚なきまでに存在を否定されていた。「ベストアンサー」というハンコが押されていたが、なにがベストなのかさっぱり分からなかった。ヤフー知恵袋のベストアンサーがベストだったことなんてこれまで一度もない。

長老には全否定されたが、他の検索結果を見てみると、三十一歳女性の完全オリジナルではないようだった。どこの方言かは分からないが、とりあえず世の中には一定数、イチャコラという言葉を使う人びとがいるのだ。

みなさんもこれからはイチャコラという言葉を使ってみてほしい。「俺はイチャイチャ派!」「あたしはイチャコラ派!」なんてふうに、恋人とふたりでイチャコラすればいい。恋人がいないなら歯ぎしりで対応すればよい。