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真顔日記

上田啓太のブログ

スパイキーエッジを使う

先日、はじめてヘアワックスなるものを購入した。齢二十七にして色気づいたからだ。メーカーはギャツビー。色々と種類があったのだが私が購入したのはショッキングピンクのものである。店頭で見て即決した。ショッキングピンクは一番派手で一番偉いからである。

スパイキーエッジというカッコイイ商品名も気に入った。色気づいた自分にピッタリのネーミングである。このあいだまでマッシュルームみたいな頭だった私もいまやスパイキーエッジ。ずいぶん出世したものだ。これを頭につけてゴネゴネやれば、街を歩くスタイリッシュなメンズのごとき毛束感がでるのだろう。あとは毛束を風になびかせながらスタバでもなんでも行けばよい。スタイリッシュにマキアートを飲めばよい。

ということで、スパイキーエッジを髪につけてみたが、なにが悪いのか、うまくいかない。毛束感が出ない。出る気配すらない。がんばって鏡の前でアレコレ試すが効果は見られず、むしろ事態は悪化していく。明らかにイメージと違う状態になっていく。

しかし、かの木村拓哉もギャツビーのCMで「好きにやっちゃって」と言っていた。わけのわからない踊りをしながら言っておった。あの言葉を信じて必死でやってみる。感性のおもむくままに指先が動くままに、好きにやっちゃってみる。

結果、背伸びした中学生みたいな髪型になった。

ジャスコで調子こいてる中学生にしか見えなくなった。

恥ずかしいのでスタバに行くのはやめた。

夜、三十一歳女性に泣きついたら、「つけかたがおかしいんだよ」と言われた。「どんなふうにしたのよ」と問い詰められたので昼間の悲劇を再現してみたのだが、それを見た女いわく「絶望的に技術がない」とのことだった。意味のないところに毛束をつくるし、立てるべきところはペシャンコのままだし、わざとやってるのかというくらい下手糞だったらしい。

結局、よろこんで購入したスパイキーエッジは三日ほどでつけなくなり、今では洗面台の片隅でさみしそうに放置されている。

スパイキーでもエッジでもない結末だった。