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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

ストール最強幻想とその崩壊

スタバが慣れ親しんだ場所になってきた。

日常的に通うようになって三ヶ月ほどすぎたからだ。スタバでパソコンに向かう私はとてもリラックスしており、もはや第二の我が家といっても過言ではない。もっとも、第一の我が家である三十一歳女性宅も厳密には我が家ではないのだが、そのあたりの事情は目をつぶり耳をふさぐことで対応したい。

さて、スタバ通いの初期において私はかなりイレこんでいたというか、スタバという場を意識しすぎていたところがあった。なんたって天下のスターバックス、タバコの煙が充満する場末の喫茶店とはワケがちがう。相応のドレスコードがあるだろうし、ビーサンを履いて襟元がダルダルのTシャツを着るような、ファッションの神様を肥溜めにほうりこむスタイルでは罰があたるだろう。

だから春ごろはスタバに行くときだけストールを巻いたりしていたのだが、それも今では若気の至りとなった。たった三ヶ月で若気の至りになったのだ。もはや思い出すだけで恥ずかしい。あのころの自分はスタバに行くたびショッキングピンクの派手なストールを巻いていた。自分のものではない。家にあったものをこっそり借りたのだ。

当時の自分にはストール最強幻想とでも呼ぶべきものがあり、同時にショッキングピンク最強幻想もあった。「ストール=オシャレ」がまずは絶対的なオシャレ方程式として存在し、そこに「ピンクを差し色に使うのは上級者」という高校生のころ雑誌で読んだ知識が加わってくる。最後に「ショッキングピンクはピンクの中でも一番派手で一番偉い」という個人的感覚が付け足され、ピンクのストールを巻いてスタバに行く男が完成したわけだ。

あのころの私といえば「ストールを巻いた俺を見てくれ」状態であり、スタバまでの道のりでもガラスがあれば自分を映してストールを確認、うれしそうに鼻腔をふくらましていた。スタバでもストールの先をひらひらさせながら注文し、席についてもストールを外さない。そこはもう外せよバカかと思うが外さない。ストールを外せばオシャレじゃなくなるからだ。

そんな日々が一月ほど続いた。結局、私の心をつらぬいたストール最強幻想は三十一歳女性の「べつにストールはおしゃれじゃないでしょ、普通でしょ」という発言で終焉を迎えた。女は追い討ちをかけるように「あんたショッキングピンク似合わないよ」と続け、「勝手にあたしのストール使うのやめて」と付け加えた。容赦なき三連打でハートをボコボコに殴られ、ぐすぐす鼻を鳴らしながらストールを外した。

話は冒頭に戻る。それも今では若気の至りだ。ここを強調しておきたい。もはや「ストール巻けばオシャレ」なんて低レベルなことは思っていない。

今はVネックが最強だと思っている。