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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

五年ぶりに恵文社へ

五年ぶりに恵文社に行った。京都は一乗寺に位置する本屋である。ずいぶんと変わった品揃えの本屋だ。一般的な本屋に並んでいるような売れ線の本、雑誌はほとんど置いておらず、芸術や哲学、文学やサブカルに大きく偏りを見せた品揃えになっている。

大学のころ一乗寺に住んでいて、よく恵文社に行ったものだった。歩いて二分の場所にあったので、気軽なきもちで立ち寄っては、目についた面白そうな本を買ったり、一時間ほど店内をうろついたあげく何も買わずに帰ったりした。

恵文社がそこそこ有名な本屋であり、『世界のすばらしい本屋10選』なんてものにランクインしていることを知ったのは、すでに京都を離れてからだった。なるほどと思う反面、なんだか恵文社が遠くにいってしまったようにも感じたものだった。

考えてみれば、大学時代に恵文社でなんとなく購入したさまざまな本、たとえば安部公房や町田康の小説であるとか、長尾謙一郎やおおひなたごうの漫画、それに『エレガントな宇宙』や『世界の中心で愛をさけんだけもの』、それらのすべてが今でも好きな本であり、恵文社に並ぶ本の「異常な打率」に遅ればせながら驚いたのであった。

五年ぶりの恵文社は、あいかわらず奇妙な魅力をたずさえて佇んでいた。

恵文社のむかいにはドラッグユタカがある。これも五年ぶりに行った。

京都は一乗寺に位置するドラッグストアである。ずいぶんとまっとうな品揃えの薬屋だ。一般的な薬屋に並んでいるような売れ線のサプリ、パンや牛乳、医薬品が置いてあり、大麻やアヘン、ヘロインやコカインに偏りをみせた品揃えにはなっていない。

大学のころ一乗寺に住んでいて、よくドラッグユタカに行ったものだった。歩いて二分の場所にあったので、気軽なきもちで立ち寄っては、目についた面白そうなトイレットペーパーを買ったり、一時間ほど店内をうろついたあげく玄米フレークだけ買って帰ったりした。

ドラッグユタカがまったく有名なドラッグストアではなく、『世界のすばらしいドラッグストア10選』なんてものにも選ばれておらず、そもそもそんなランキングが存在しないことを知ったのは、ついさっきのことであった。なるほどと思う反面、ドラッグユタカが遠くにいってしまったように感じたりは微塵もしなかった。

考えてみれば、ドラッグユタカでなんとなく購入したさまざまな生活用品、たとえばエリエールやスコッティのティッシュであるとか、ケロッグやシスコのコーンフレーク、それに『バスマジックリン』や『どん兵衛超特価おひとりさま三点まで』、それらのすべてが今でも使っているものであり、ドラッグユタカに並ぶ商品の「どこにでもある率」に遅ればせながら驚いたのであった。

五年ぶりに見たドラッグユタカのマスコットは、あいかわらず妙にムカつく顔で佇んでいた。