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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

ScanSnapを買った

日々と思考

あまり日記を書いていないのはScanSnapを買ったからだ。

Scansnapは高速スキャナだ。大量の紙をすさまじい速さで飲み込んで次々と電子化してくれる。様々な本を裁断しスキャンしているのが現在の自分の生活のすべてであり、小部屋では一日中スキャナが紙を飲み込むウィーガウィーガという音がして絶えることがない。三十一歳女性はそんな自分を呆れた目で見て、

「家内制手工業だね」

と皮肉めいた言い方をしていた。

とにかく裁断スキャンが止まらない。まさか本を裁断しスキャンするという作業がこんなにも中毒性の高いものだとは思わなかった。古本屋で大量に本を買い込んでは小部屋でそれを裁断しスキャンする毎日だ。手段はすぐに目的化する。もともとは「パソコンで本を読む」ことが目的であり、電子化はそのための手段であったはずなのに、たった二週間で、本の電子化自体が目的になってしまったのだ。

現在の自分はスキャナに紙が飲み込まれていくのを眺めるだけでメシが何杯でも食える状況であり、実際、このあいだスキャンしながらメシを食った。白米を何もかけずに食った。居間でメシを食っている時間が勿体なかったのである。

三十一歳女性の顔には「なんでこんな男を住まわせているんだろう」という疑念がべったり貼りついていた。小部屋から聞こえてくるウィーガウィーガという音に顔をしかめながらネコの動画をみていた。ひたすらネコを見る女の無職、ひたすら本を裁断する男の無職。まったく社会に貢献せずに強く生きるこの二人の姿はどうだ。

「古本購入、裁断、スキャン」の無間地獄が死ぬまで続くと思われたが、さきほど唐突に理性が戻ってきた。このペースで本を電子化していたら、それを読む時間がない。

私は本末転倒の四文字を焼きゴテで刻印された気分になり、苦笑いしながらテキストエディタを開き、こうして事の次第を書きつづった次第です。真顔で裁断し続ける日々が終わり、真顔で日記を書き続ける日々が帰ってきました。これからもよろしくお願い致します。