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真顔日記

上田啓太のブログ

ネコカフェ初体験で狂気の沙汰になる

三十一歳女性の強い要望でネコカフェなるものに行ってきた。要するにネコがたくさんいるカフェである。それ以上の説明をするのは不可能だ。これがなかなかの暴利で、ネコがたくさんいるだけなのに30分で1000円もとられる。ちょっとカワイイ四足獣を撫でたり抱いたりツマんだりするだけで1000円である。しかし三十一歳女性は野牛のような勢いでネコカフェに突入したし、ついていくしかない。たしかにネコはカワイイと思うが、わざわざ金を払って時間制のシステムに縛られてまでネコとじゃれあいたいとは思わぬ。

そんなことを思っていたから、私の顔はたいへん険しく、はしゃぐ三十一歳女性の横で、気乗りしないムードで、目の前のネコを適当に撫でたり抱いたりツマんだりしていたのだが、そのすべてにネコが非常にかわいらしいリアクションをしよるので、どんどん頭がボンヤリしてきて、口元がゆるんできて、いつのまにか、「1000円は安いなぁ」と思っていた。カワイイは暴力である。

30分1000円、ドリンクは明らかにそこらのスーパーで買ってきたジュースだった。それでも十匹ほどのネコを撫でたり抱いたりツマんだりできるなら安いものだし、肉球は本当にやわらかいし、ニャアと鳴く姿は感涙ものだし、よし次はあそこのミケを撫でよう。

私がネコカフェに篭絡された頃、最初からフルスロットルで圧倒的カーニヴァル状態だった三十一歳女性は気狂いと見分けのつかぬハイテンションになっていた。むさぼるようにネコを撫でている。生命の爆発とはこういうことを言うんだろう。

「うわぁひゃぁ、ふややぁ〜」

感極まって言語破壊を起こす三十一歳女性だったが、理性が飛びすぎたのか、ミケネコを強引に抱こうとして見事に噛みつかれていた。あわれ三十一歳、指をネコに噛みつかれ、「イタイタイタイタイ!」と叫びながら、それでも顔には晴れやかな笑顔。私は人生ではじめて笑顔で噛まれている人間を見た。とても馬鹿に見えると知った。

噛まれながら笑顔というマゾッホ全開の三十一歳女性を尻目に、私は紳士的にネコを撫でたり抱いたりツマんだりして楽しんだ。何枚か写真を撮った。そのなかのベストショットをみなさんにお見せして終わりにしたい。

このネコは一時間ずっとこの状態だった。キャバ嬢なら完全にクレームものであるが、誰一人文句を言うものはいなかった。すべての客が暖かい目で見守っていた。寝てるだけで商売になるのはネコくらいのものである。

余談だが、我々は三十分で帰るはずが一時間いた。延長はアイコンタクトで自然と決まったことをここに記しておく。