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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

いつものように真顔日記を書く

日々と思考

いつものように昼の十二時に目が覚める。三十一歳女性は隣の布団でまだ眠っている。起き上がり、トイレで用を足してから、小部屋に入る。椅子に座り、眼鏡をかけて、ノートパソコンを開く。しばらくぼんやりとネットのニュースを眺める。

京都の空は灰色で、小雨が静かに降っている。それ以外は普段と何も変わらない。立ち上がり、スウェットの上にジャンパーを羽織る。三十一歳女性を起こさないように、そっと居間を抜け、玄関でジョギングシューズを履く。

近所を一時間ほどウォーキングする。雨は問題にならないほど弱い。工事現場で数人の作業員が弁当を食べている。あと数週間で新しい家が建ちそうな気配だ。曲がりくねった細い道を歩く。学校のグラウンドで、小学生たちが楽しそうにサッカーをしている。

歩きながら髪をさわる。左の髪がハネている。いつもどおり寝癖のまま出てきたようだ。ウォーキングも三十分を過ぎると息が弾んでくる。駐車場を三毛猫が横切っていく。スーパーでたくさんの人が買い物をしている。大通りをたくさんの車が走っている。

ウォーキングの最後にコンビニに寄る。パンを二つとお茶を買う。そして家に帰る。静かに玄関を開け、靴を脱ぎ、そっと居間を通り抜けて、自分の小部屋に入る。パンを食べながら、次々と更新されるネットのニュースと、Twitterのタイムラインを眺める。

テキストエディタを立ち上げる。日曜分の更新のために、メールフォームから届いた質問に返事を書こうと決める。Gmailを開き、たくさんのメッセージに目を通しながら、どれを選ぶか考える。ひとつの質問が目に留まる。

どうにか三十一歳女性の歯だけでも写真撮れませんか?

「どうにか歯だけでも」という無駄な必死感が馬鹿馬鹿しくて、いいなと思った。三十一歳女性の前歯の写真はそんなに必死で求めるものじゃないだろう。そう思うと、はじめて、少し笑えてきた。

居間をちらりとのぞくと、あいかわらず三十一歳女性は熟睡していた。仰向けで、口を開けたまま眠っていた。前歯がみごとに見えていた。目覚めそうな気配はなかった。昨日は深夜5時頃までテレビを見ていたから、それも仕方ないのかもしれない。

今なら余裕で前歯の写真を撮れるな、と思った。だけど撮らないことにした。窓の外は平和すぎるくらい平和だった。くだらないことをたくさん書こうと思った。無意味なことを、なにひとつ人生に必要じゃないことを、涙が出るくらい馬鹿馬鹿しいことを、書けるだけ書いていこうと決めた。いつものように。