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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

インティライミ、ふたたび

居候生活

このあいだナオト・インティライミがどうこうと書いたが、一週間経った現在、三十一歳女性が完全に名前を忘れていた。三十一歳女性のカタカナ処理能力をナメちゃいけない。インティライミという言葉は三十一歳女性の頭の中で変わり果てていた。

「あれ覚えてる? こないだテレビ出てた、へんな名前のミュージシャン」

この質問に対し、三十一歳女性は自信満々で、

「サブプライム」

と言った。真顔で言った。インティライミという言葉が、一週間でサブプライムになっていた。予想を超える間違いっぷりに思わず飲みかけのお茶を吹いた。このふたつ、「ライ」しか合ってない。ライだけ残して全取っ替えされている。その雑すぎる記憶能力に、思わず金融バブルもはじけるだろう。

おかしいだろと指摘しても、本人はあまり納得のいかない様子で、「インティラミだって」と教えても、「そんな名前だっけ?」とつぶやくだけ。「ほんとにサブプライムじゃなかった?」と、あくまでサブプライムにこだわっている。なので、ここはひとつ、サブプライムが何なのかバシッと教えてやろうと思い、

「いやだから、サブプライムはアメリカのなんかスゲー大変なやつ?で、金融危機のキッカケになったやつ?で、住宅ローン?で……とにかくインティライミとはぜんぜん違うだろ!」

と言ってやったのだが、今度はこちらが、重要なところがすべて疑問形という体たらく。この発言をきっかけに、「上田もサブプライムのことよく分かってない」という事実が白日のもとに晒され、信頼は一気に地に堕ちた。「アメリカ」「金融危機」「スゲー大変」というワードを連呼するだけで、かしこいオウムと同レベルの話術。

ここぞとばかりに三十一歳女性は「やっぱナオト・サブプライムだって」とねじこもうとするし、「いやインティライミだから」と反論しても説得力はないし、バカとバカの会話は不毛の螺旋をグルグル回り、グダグダの四文字がその場を包むこととなったが、最終的にグーグルで調べてすべて解決した。グーグル神の検索結果を見せると、三十一歳女性も一瞬で納得していた。

さて、それが昨日の出来事だ。

さすがに昨日の今日ならば正しい名前を覚えているだろうと思い、先ほど、ふたたび三十一歳女性にインティライミのことを聞いてみたんだが、今度は、

「サブプライミ」

と言っていた。またもや真顔で言っていた。

一文字だけ、真実に近づいている。