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真顔日記

上田啓太がいろいろ書くブログ

勝負Tシャツの英語に絶望

日々と思考

suck the president.

私の勝負服であるTシャツには、そんな英文が書いてある。意味を考えたことはなかった。サック・ザ・プレジデント。意味はわからないが、なんだか響きはカッコいいし、字面もすごくカッコいい。きっとカッコいい意味なんだろう。

だから五年以上、このTシャツを重要な場で着ていた。冬は胸元にワッペンがついたセーター、夏はサック・ザ・プレジデントと書かれたTシャツ。どれだけ季節が通りすぎても、バカのひとつ覚えみたいにこのふたつで勝負してきた。

今日、ふと「"suck the president"ってどんな意味なんだろう」と思った。五年にわたり最強の勝負服としてクローゼットに君臨しているのに、意味を知らない。「なんかカッコいい意味」というのは、あまりに漠然としている。今こそ、このTシャツをもっと知るべき時ではないだろうか。

軽い気持ちでエキサイト翻訳にいれてみた。

エキサイト翻訳が弾きだした最高にエキサイトな結果に飲みかけのお茶が鼻に入った。

社長をしゃぶってください

勝負服にはそんなフレーズが書いてあった。あまりにも勝負服にふさわしくないフレーズだった。大事な飲み会があるたびに、私は「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツを着ていたのか。

「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツを着て意気揚々と飲み会に出かける自分を想像した。「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツを着て待ち合わせ場所に登場する自分を想像した。身体が熱くなってきた。脇汗がとまらなくなってきた。

私は「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツで、「ウーロンハイおかわり!」と言っていた。「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツで、「二次会行く!」と手をあげていた。「社長をしゃぶってください」と書かれたTシャツで、「恋に恋してるだけじゃない?」と年下にアドバイスしていた。ビール瓶で殴られても文句はいえない姿だった。

これはきっとエキサイト翻訳が悪い。

別の翻訳サイトを試してみた。

社長をしゃぶってください

トドメを刺されて飲みかけのお茶の味が消えた。もうわかった。社長を出せ、はやく社長を出せ、いくらでも社長をしゃぶってやる。いますぐしゃぶらせろ。俺の勝負服がそう言っている。社長をしゃぶらせてくれ!

孫正義のことを想像した。最初に浮かんだ社長だった。私は孫正義のもとへ走る。全速力で走る。汗だくでやってきた私を見て、孫正義は「やりましょう」と言う。もう別の意味にしか聞こえない。

最後に一度だけ、別の翻訳ソフトを試すことにした。

すると、はじめて違う言葉がでてきた。

大統領を吸収します

社長をしゃぶる必要はなくなったが、今度は大統領を吸収することになっていた。どっちもどっちだった。テロリストからこんなメッセージが届いたら、ホワイトハウスも途方に暮れる。

「大統領を吸収します」と書かれた服でホワイトハウスに突入する自分を想像した。私は巨大な掃除機をかかえてオバマのもとに走っていた。それは世界一くだらないテロリストだった。そこには何の大義もなかった。命をかけた悪ふざけでしかなかった。

そして私はあっけなくSPに撃たれていた。勝負Tシャツが真っ赤に染まっていた。血まみれの私を孫正義が抱いていた。孫正義は涙目になっていた。うすれゆく意識のなかで、「やりましょう! やりましょう! あの日みたいにやりましょう!」という声がきこえてきた。

ということで、みなさんもTシャツに書かれている英語には注意してください。知らぬ間に、社長をしゃぶったり大統領を吸収したりしているかもしれません。