真顔日記

上田啓太のブログ

押入に眠るジャガー

『ピューと吹くジャガー』をひさびさに読みたいという話になって、マンガ喫茶に行こうかと提案したら、同居人は「うちにあるよ」と言う。それはもう当然のように、前歯をキラリと光らせて言う。聞くと、天井近くの小さな押入に漫画がたくさん入っているらしい。そんなことまったく知らなかった。

年の瀬に最高のサプライズを与えられ、喜び勇んで押入を開けたら、大量のマンガが顔面に落ちてきた。バンッバンッバンッといやがらせのように的確に鼻に当たった。しかもジャガーとは別の漫画だった。当たり損である。女は「あららー」と間の抜けた声を出していた。完全に他人事であった。

ヒリヒリする鼻をおさえながら押入のなかを見た。マンガ以外にもよく分からないものがたくさん押し込まれており、異常にゴチャゴチャしていた。使っていない布団、ホコリまみれのプリンタ、謎の風呂敷など、とにかく使わないものを放りこみまくったという感じである。

女は真剣な顔で押入をのぞきこむと、財宝の眠る洞窟を見るかのように、「この奥にジャガーがあるはず……」と言った。一瞬ダマされかけたが、そもそもこんな押入にしたのはこの女ですからね。気をつけてください。

ジャガーを探して押入をあさった。だが、『20世紀少年』や『ARMS』など20巻を超えるストーリーマンガが次々と発掘されてしまい、案の定読みふけってしまう。プリンタや風呂敷が散らばる部屋で、当初の目的をわすれて、「12巻早くまわせよ!」「ゆっくり読ませてよ!」と揉めるバカとバカ。年の瀬って感じである。

何度も中断を挟みながら発掘作業はつづき、数時間後、ようやく押入の奥にジャガーを見つけた。しかし出てきたのは11巻と12巻と14巻と17巻だった。衝撃的な中途半端さだった。どれだけ探しても4冊しかなかった。女はしばし黙り込んだあと、散らかった部屋を見渡し、「マンガ喫茶行ったほうがよかったね」と言った。

言うなよ、それ。

ピューと吹く!ジャガー (1) (ジャンプ・コミックス)

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